メインストーリー

「ふと気が付いたら、そこは異世界だった……」

ラノベによくある勇者や聖女の召還、選ばれし者が呼ばれる理由。
『ただの拉致じゃん?』なんて口にする女が、その当事者となった――

……なんてことはなく。

「この世界では稀に、異世界人がやって来る。なお、理由は不明だ」
「……。マジ?」
「帰還方法は当然、【ない】! 意図して呼ばれておらんからな」

保護してもらった先で判明したのは、『不運』という一言に尽きる事実。
しかし、この世界には魔法があり、努力次第で使えると判明した彼女は強かった。

「私にはゲームや元の世界の知識がある! やってやれないことはない……!」

その甲斐あって、彼女――香坂御月(コウサカミヅキ)はめでたく魔導師に。
彼女の『最後に笑うのは私だ!』という、決して折れぬ強靭な精神の勝利であろう。

なお、魔術師になれなかったのは、異世界人特有の言語の自動翻訳のせいである。
詠唱が正しく聞き取れず、『この世界の魔法』が使えないと悟るや、ミヅキはさっさと独自の方法を編み出したのだ。

彼女の辞書に『敗北』や『諦める』といった文字はない。
他にも『敵に向ける優しさ』やら『博愛精神』といったものもなかった。
香坂御月、彼女は自己中・外道という評価を欲しいままにする、ろくでもない性格をしていたのである……!

後見人となってくれたエルシュオン殿下の愛情深くもスパルタな教育の下、ミヅキは異世界で楽しく生きていく。
そして判明する『異様に綺麗な顔+天才→致命的な欠陥有り!』という現実。
個性的な仲間達と共に、彼女は『世界の災厄』と呼ばれる魔導師として、様々な事件に挑む!

登場人物

  • 香坂御月 (コウサカミヅキ)

    • 国:イルフェナ
    • 気が付いたら異世界に居た、ドSな女性。「知識」を何らかの形で利用することと具現化することに関しては天才的。鬼畜魔導師と恐れられる。
  • エルシュオン・リトゥ・イルフェナ

    • 国:イルフェナ
    • ミヅキの保護者。親猫扱いされるイルフェナの第二王子。あまりに強い魔力と敵に対する容赦の無さから魔王と呼ばれている。
  • クラウス・ブロンデル

    • 国:イルフェナ
    • 黒髪に藍色の瞳を持った美形騎士。ただし、魔術にしか興味がなくミヅキに職人扱いされる。
  • アルジェント・バシュレ

    • 国:イルフェナ
    • 淡い金髪に緑の瞳を持った美形騎士。令嬢達から「理想の騎士様」と言われている。ただし、「自分より強いものに苦痛を与えられることに喜びを感じる」という変態。
  • ルドルフ・イル・ゼブレスト

    • 国:ゼブレスト
    • ゼブレストの王。親しみ易い性格からミヅキの親友になる。
  • セイルリート・クレスト

    • 国:ゼブレスト
    • 穏やかな表情を崩さないゼブレストの将軍。本音が見えないとも噂されている。実は性格に難ありの困った人。
  • シュアンゼ

    • 国:ガニア
    • ガニア国王弟子息。線が細く、一見大人しそうに見えるが……。ガニア国でのミヅキの協力者。ミヅキに出会いその本性を見せたことで、『灰色猫』と呼ばれるように。
  • セレスティナ

    • 国:コルベラ
    • コルベラの王女。キヴェラ王が無理矢理連れてきた王太子妃だった。お姫様なのに、自活でき、野営も平気で逞しい。

シリーズ紹介

  • ゼブレスト・イルフェナ編

    1~2巻収録

    ある日、唐突に異世界トリップした香坂御月(コウサカミヅキ)は、非凡(天才?)×眉目 秀麗――だけど壮絶な残念要素を持つ者たちが多数存在する、アンバランスな実力至上主義国に保護されることとなる。魔法の才能と持ち前の鬼畜さから、イケメン騎士に惚れ込まれてしまったミヅキは、そこからなし崩し的にトラブルに巻き込まれることに……!?
    確かに見た目はいいし家柄も素晴らしいけど、どうしてこうもマイナス要素がある難有り美形ばかりが集まるのだろうか……!?
    非凡に片足を突っ込みながらも普通の人(=平凡)を望むミヅキと、個性あふれるイケメン達が織りなす鬼畜ヒロイン系異世界ファンタジー。

  • キヴェラ編

    3~7巻収録

    異世界トリップをしたミヅキは、グランキン子爵の事件の後、レックバリ侯爵から「冷遇されている王太子妃を助けて欲しい」と依頼される。
    難色を示すエルシュオン達を他所に『ある思惑』からあっさりと引き受けるミヅキ。
    その救助方法は、姫を拉致してゼブレスト、イルフェナなどを回りながら逃亡する事だった!!
    存在を無視されるのをいいことに快適に過ごしていた姫達も普通ではなくて……。
    今度はミヅキの逃亡生活!?

  • 魔導師の受難編

    8~12巻収録

    各国を巻きこんだ娯楽を無事に成功させ、ノーランドの迷惑姫を退けた魔導師ミヅキ。
    実態こそ悪名高い彼女だが、世間に広がりつつある認識はまったく逆であった。
    そんな彼女の元に一通の手紙が届く。差出人はバラクシン第四王子フェリクス。間違った認識からミヅキを利用しようとするフェリクスに対して、彼女がとった行動とは……!?
    「魔導師がどういう存在か。とても有名だと思うのですけど、ねえ……?」

  • サロヴァーラ編

    13~16巻収録

    立て続けに起こった騒動を乗り越え、イルフェナで平穏な日々を送っていたミヅキ。そんな彼女のもとに、貴族令嬢誘拐事件への捜査協力の依頼が舞い込んでくる。その内容は、ミヅキに囮になって欲しいというものだった。 事件の詳細を聞くうちに、犯人からイルフェナへの敵意を感じ取った彼女は、周囲の心配をよそに、喜々としてその依頼を引き受けることに。

  • ガニア編

    17~21巻収録

    ゼブレストのアンデッド騒ぎを無事に解決したミヅキ。
    イルフェナに戻った彼女は、北の大国ガニアから来たという商人の謁見に同席することに。なんとも怪しい言動の商人だったが、その正体はなんと魔術師だった!?
    彼の魔術から魔王様を庇ったミヅキは、いきなりガニアに転移させられてしまう。しかも、着地したのは、ガニアの王弟子息シュアンゼの膝の上だった。
    怒れる魔導師は、魔王様を危険にさらした元凶に報復することができるのか……!?
    「敵を完膚なきまでに叩きのめし、表舞台から追い落とすまで!」
    ミヅキお得意の論破バトル勃発!!

  • 変わりゆく世界編

    22~24巻収録

    北部の大国ガニアから、イルフェナへと帰ってきたミヅキ。
    久々の平穏を満喫しようとしていたところ、ミヅキたちのもとにアルベルダの第二王女クリスタが訪問してくる。
    訪問者であるクリスタの面会を受けて、魔王様直々にアルベルダに派遣されることになってしまうミヅキ。
    そうしてグレン、ウィルフレッドと再会した彼女は、なにやらまたキヴェラがトラブルに絡んでいることを確認し、『お仕事』をすることを決める!
    「休日返上させられた分、しっかり楽しませてもらわなきゃね」